豪ドル/円相場は、77~79円のレンジで保ち合い気味の相場展開になっている。引き続き欧州債務問題や中国経済の先行き不透明感が上値を圧迫するも、対ドルでの円高圧力が一服していることもあり、豪ドル/円相場は明確な方向性を打ち出せていない。日豪の金融政策環境にも大きな動きはみられず、決め手を欠いている。
欧州債務問題に関しては、ギリシャに対する懸念が後退する一方、スペインが改めてリスク要因として注目されている。ギリシャの世論調査では、緊縮財政派の優勢が伝わっており、6月17日の再選挙に対するイベントリスクは後退している。まだ選挙までにギリシャ世論がどのような動きを見せるのか予断を許さない状況だが、反緊縮財政派の勝利でデフォルト(債務不履行)リスクが高まる最悪の展開はメインシナリオから外れつつある。ただ、スペインでは金融機関の健全性が問題化しており、欧州債務問題に対する懸念は寧ろ高まる流れが維持されている。ユーロの安値更新が続く中、豪ドルに対する買い圧力は限定されよう。
一方、中国の統計は弱含みの状況が続いている。特に製造業セクターの減速傾向が続く中、投資家のリスク回避スタンスが豪ドルの上値も圧迫している。温家宝首相は5月21日、「経済成長支援に向けた取組みを強化する」としており、「中国の政策対応→景気下振れ懸念後退→豪ドル高」のフローも十分に考えられる。ただ、国営・新華社は逆に「新たなに大規模な刺激策を実施することはない」と報じており、先行き不透明感の強さは否めない。6月5日にはオーストラリア銀行(豪中央銀行)金融政策会合も予定されているが、今会合ではキャッシュ・ターゲットの変更は見込まれていない。リスク投資の地合悪化を受けて、高金利通貨の代表格である豪ドルが売られ易い地合に変化はないだろう。
今後1週間の予想レンジは、76.50~79.00円。